今回は、職場における、いわゆる「パワハラ」についてのご相談です。
匿名 さんからのご連絡
はじめまして。
私、某■(注:エリア名)に本社がある(中略 ※会社情報の記載があります)ホール企業で社員をしているものです。
この度、楽太郎様にお伺いしたい事がありお問い合わせさせていただきます。
内容としては
「パチンコ店でのパワハラについて」
です。
私、上司からの評価が悪く(自業自得だと思う面もあればそうでない面もあります。)、信用が低く、何かトラブルがあればすぐに指導されるような立場にあります。
信用を回復しようと色々と試行錯誤しましたが、どうやら改善されていないようで、何かと理不尽なことを言われたりします。
結果、精神科の医師から職場のストレスが原因の鬱病と診断されてしまいました。
その件は診断書を医師に発行してもらい、会社にも提出したのですが、その後も以下の様な事を言われています。
(中略)
※上司の方との遣り取り内容を、複数件、詳細にお書き下さいました。
※人間性の否定であったり、業務上の指導ではなく単なるいじめ/嫌がらせと判断できるような内容になっています。
…他にもありますが、こんな感じです。
正直、精神的に限界で退職を考えております。
上記の件は全て主任以上の役職者にされた事です。
また、社内にその様な件に対する相談窓口的なものもないですし、役職者がそんな感じなので上に言ってもダメな気がします。
この様な場合、何処に相談するのが正解でしょうか。
また、楽太郎様の様な店長職の方が自身の店舗や会社でこの様なハラスメントがあった際、どういった対応をとりますか?
私、学生時代に別のパチンコ店でアルバイトをしてる際に楽太郎様のブログを見つけ、それ以降このブログに書かれている話や、その時の会社の店長の話などを聞き、パチンコ業界に興味を持ち、入社しました。
今の会社は辞めても、この業界で生きていくつもりです。
稚拙な文章で、答えづらい内容かと思いますが、お手隙の際にお答えいただけると幸いです。
お願いいたします。
________
ここまでが、匿名 さんからのご連絡内容です。
それでは、回答です。
回答
自身の状況を、どのように改善するか?
まずは、大変辛い状況に置かれている事、また現時点ではその状況が自然に解消して行くような見込みがない事について、お気持ちの程をお察しします。
ご質問者と、私のようなオッサン世代とでは、若手時代の過ごし方というか、世の中全体での職場環境の「常識」みたいなものは、まるで異なると言えます。
なので、「私が若手社員の頃は~」といった経験談は何の役にも立ちませんから、今回はそういったお話は一切致しません。
あくまでも、今回のご相談内容が「パワハラ」に該当するのか否か?
該当する場合は、どのような解決策が想定され得るのか?
その解決を、現在の所属会社に対して求めるのか?
それとも、別の解決策を見出すのか?
こういった流れで、「現状の改善」のためにどうするか、といった事についてのみ、お話しして参りたいと思います。
まずは、本件がパワハラと見なして良いか否かについて、私見を述べさせて頂きます。
パワハラか否か
お書き下さった内容を、下記のサイトに記載されている内容と照らし合わせて参ります↓
[参照]厚生労働省HP「職場のパワーハラスメントについて」
職場において、立場上の優位性を持った者から、業務の範囲内において適正とは言い難いような指導をされて、その結果として「精神科の医師から職場のストレスが原因の鬱病と診断された」=実害が発生している、というのが、ご質問者が置かれている状況です。
つまり、私見では、本件はパワハラとみなすのが妥当だと思います。
では、このような問題の解決に、具体的にどの法令が適用されるかと言えば、私の現時点での知識や経験上で述べさせて頂くと、
- 労働契約法
- 民法715条に定める使用者責任
これらが該当し、場合によっては
- 労働安全衛生法
こちらも該当して来るかと推察します。
ご質問者は、既に「診断書を医師に発行してもらい、会社にも提出した」との事ですから、そのような社員に対して心身に負担を掛けるような言動を繰り返している現状は、労働契約法第5条に定めている↓
使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をするものとする。
こちらに記載されているような、いわゆる安全配慮義務に違反している、とみなす事ができるかと推察します。
それによって、法令違反という事で、仮に法廷で争った場合には、慰謝料の支払い或いは損害賠償請求が認められるのではないかと思います。
それでは次に、どのような解決策が想定されるかについて、お話しして参ります。
「社内にその様な件に対する相談窓口的なものもないですし、役職者がそんな感じなので上に言ってもダメな気がします」との事でした。
今回のようなパワハラ問題に関して、一般的なホール企業ですと、相談窓口的な部署が無くてもどこかしらから噂なり本人から報告が上がって来るなどして、それで店長或いはそれ以上の役職者と当事者との面談の場が持たれ、当事者を系列の別店舗に配属したり、その上司においては最悪の場合は降格や役職者手当の減給といった措置がとられます。
現在の所属会社にも、どこかに味方は居る、と考える事もできますが、その人物が問題解決に積極的に貢献してくれるかと言えばなかなか難しいところかと思います。
なので、ここでは、相談相手を社内に求める事はできないとして、話を進めます。
近年では、いかにパチ屋とは言え、こういったケアをしっかりしないと、言い方が悪いですが
「地域の労働局や労働基準監督署に駆け込まれたら面倒だ」
と考えて、報告を受けたらそれ相応の対処をする場面が増えて来ているものと推察しますが、残念ながら、ご質問者の所属会社では、そういった社内状況ですらないようです。
職場でのいじめ・嫌がらせについて
以下で、今回のご相談を、職場における「いじめ・嫌がらせ」とみなして、下記の公的機関が作成したレポートを見て参ります↓
公表:2018年(平成30年)6月27日
作成:雇用環境・均等局総務課 労働紛争処理業務室
公表資料の一部ですが、このような感じの内容になっています↓
資料にある通り、労働局/労働基準監督署に設置している相談センターが実際に対処したものだけで、「いじめ・嫌がらせ」に該当するものは72,000件以上もあるという事がお分かり頂けるかと思います。
そして、社会人であれば誰でも、「このような数字は、所詮は氷山の一角である」という事も察する事ができます。
2018年(平成30年)6月に成立し、2019年(平成31年/令和元年)4月1日以降順次施行されている「働き方改革関連法」では、時間外労働についてや有給休暇の取得等がメインで扱われたのは周知の事かと思います。
この法令には、衆参両議院ともに附帯決議があり、参議院において、パワハラ問題対策は喫緊の課題であるとして、今後より実効性がある法整備を検討すべきとしています↓
三十八
本委員会における審査を踏まえ、職場におけるパワーハラスメント等によって多くの労働者の健康被害が生じており、その規制・防止を行うことが喫緊の課題であるとの共通の認識に基づき、国際労働機関(ILO)において「労働の世界における暴力とハラスメント」の禁止に向けた新たな国際労働基準の策定が行われることや、既に国連人権機関等からセクシュアルハラスメント等の禁止の法制度化を要請されていることも念頭に、実効性ある規制を担保するための法整備やパワーハラスメント等の防止に関するガイドラインの策定に向けた検討を、労働政策審議会において早急に開始すること。
また、厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書を踏まえ、顧客や取引先からの著しい迷惑行為について、関係者の協力の下で更なる実態把握を行うとともに、その対応策について具体的に検討すること
[参照]参議院「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議」
社会全体が、旧時代的なパワーマネジメントが通用しているような会社はブラック企業であるとみなす風潮にありますし、上記の通り法令面でも漸次整備が進められているのは事実と言えます。
しかし、ご質問者のように、現在進行形でパワハラ被害にあっている本人にとっては、将来的に改善される見込みとかそういうものではなく、なるべく早期に辛い状況から逃れたい、問題解決したいと考えるのは当然です。
では、当座で、どのような解決策が想定し得るか、それについてお話しして参ります。
解決策は?
まず、現在の所属会社に対して、先ほども触れたような雇用者における安全配慮義務の観点でしっかりとした改善なりケアなりを求めて行く、そして、それが実行されない場合には、損害賠償請求も含めて厳しい態度で臨む…
こういった方策について、考えてみたいと思います。
会社を相手取ってやり合うだけの材料については、鬱病の診断書がある時点でご質問者側に有利に働くと思います。
また、一旦、やり合ってでも、と決めたからには、例えば上司の罵詈雑言を音声で記録するとか、より一層ご自身にとって有利な材料を揃えて臨む、という武装策を講じる事もできます。
しかし、そういった過程で関係性がさらに悪化したり、そのような雰囲気の中でしばらくは勤務(在籍)しなければならない心労やリスク、面倒事も生じるかと推察します。
これに耐えてまで闘うか、という事に関しては、得られる見込みがある成果(環境改善、或いは慰謝料等)との天秤にかける事になろうかと思いますが、その判断はご自身で下すよりも地域の労働局/労働基準監督署や法テラス(弁護士)などに相談した上で、ご決断頂いた方が宜しいかと思います。
しかし、ご自身にとってそこまでして居残りたい、ここでキャリアアップしたいと思えるような会社では、もう既にない場合はどうするのか?
これについては、
「私、学生時代に別のパチンコ店でアルバイトをしてる際に楽太郎様のブログを見つけ、それ以降このブログに書かれている話や、その時の会社の店長の話などを聞き、パチンコ業界に興味を持ち、入社しました」
「今の会社は辞めても、この業界で生きていくつもりです」
このようにお考えでした。
なので、これを念頭に置いた上で、後段では「新天地」を求める場合についてお話ししたいと思います。
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転職という選択肢
読者の皆さんには伏せましたが、ご質問者は現所属会社についての情報をいくつかお書き下さっていて、その情報を元に、私はご質問者の所属するホール企業がどこであるか推定可能です。
そのホール企業/店舗の特徴を列挙します↓
- 「主任」の年収が非常に高水準である
- 店舗の規模の割には、「店長」の年収が高水準である
- 公休日が多く、有給休暇取得の推進など、福利厚生面の整備状況は良い
- 早い段階から、釘調整をやらせてもらう事が出来る
- 釘調整のレベルは極めて低い
- 創業店舗、旗艦店舗エリアにおける集客力は、著しい低下傾向にある
- 郊外店舗は、健闘していると評価できる集客状況にある
ごく簡単に挙げると、こんな感じです。
なので、旧時代的なキャリアアップイメージですと、副主任、主任と20代~30代前半で昇格して遊技機/周辺機器/現金および釘に早く触らせてもらえる立場になり、そこでアルバイト採用面接、部下の教育、店舗改善案の立案、イベント営業の立案なりを絡めて存在感をアピールして認められれば店長への道が拓ける、という事になります。
管理店舗の規模の割には店長は高収入ですから(1,000万円水準)、ここまで来れば少々会社の風土みたいなものに納得感が無くても、妥協点を見出す事はできるかと思います。
或いは、キャリアアップ志向が無くても、同社は主任でもその給与待遇は他社よりも高い水準にあるので(700万円水準)、言い方が悪いですがそのポジションで満足してしまう、という道もあるかと思います。
ご質問者は、現時点では主任にもほど遠いポジションというか勤務状況にあり、更には過酷なパワハラによってキャリアアップの道に危険信号が灯っていると言えます。
ご自身も、既に「退職を考えている」との事でした。
退社する事に関しては、同社のメリットである「キャリアの早期に、釘に触れる」「高待遇、高収入」これらを放棄して行く事になる訳ですが、退社して得られる「心身の健康/安定」だけでは、放棄したこれらのメリットに釣り合うか否か、部外者の私には判断が難しいところです。
いかに、心身の健康/安定が大切とは言え、業界人としてやって行くと決めた以上は、今後の「見通し」が少しでも良い方に動くべきと言えるからです。
では、鬱病を抱えてしまった心身の回復と、今後の見通しに可能性を残す、という2つの事を、どのように両立させるか?
これは↓
①業界専門の転職会社から助言を受けつつ、転職先候補とマッチングしてもらう
②中小ホール企業であっても「エリアの名店」「老舗」と呼ばれるような店舗はあり、若手の社員数に不足感を持っているような場合もあるので、そういった店舗に転職して駆け上がる
※昔は、色んな店舗に出入りしている業者(販社等)やメーカー営業マンからこっそり紹介してもらう等の転職手段もあった。
もし、勤務店舗に出入りしている者とそのような遣り取りが可能なら、試してみる価値はある
③人間関係に悩むなら、人間関係が固まり切っていない若い会社/店舗に転職する、という選択肢もある
・・・ざっと、このような策があろうかと思います。
もちろん、②に関しては、ご自身でそういった情報の収集をするのが苦手であったり、頼れる出入り業者が居ない場合は難しい方策です。
また、③に関しては、近年の業況悪化により、新店オープンの事例自体が減っています。
稀に、他エリア法人がご質問者のエリアに新店を展開する等の特殊な場面もあるかと思いますが、そういった事例もやはり、そこまで多くはありません。
いずれにしても、②と③の方策をとるには情報収集が肝要になりますから、SNSでも何でも駆使して常にアンテナを張っておく必要があろうかと思います。
その中で、例えば過去に雑談記事でも触れたように↓
3月に入り、アークをグランドオープンしてもうすぐ丸3ヶ月。グランドオープン当初はかなり盛況だったが、じわじわと落ちていき、2月中旬くらいは最悪の状況でしたが、そこからV字回復。3月1日は今年に入っての稼働売上ともに平日の最高記録!やっと、手応えを感じています。#アーク
— スロキチ (@slokichisaito) March 1, 2019
今日、業者さんに社長のことを店長だと勘違いしていたと言われた。こんなに働くパチンコ店の社長を初めて見たらしく、社長とは思わなかったらしい。本来、社長が一番働くべきなのに、パチンコ業界がおかしいだけだと思う。もう50才だけど、体が動くまでは働きます(^-^)
— スロキチ (@slokichisaito) April 25, 2019
こういった新店情報も見付けられる場面があろうかと思います。
実際、こちらのお店においては、社員の採用意欲も高いようで↓
このような遣り取りをさせて頂いております。
しかし、こういった転職方法は、人との出会いと同じように運の要素、或いはタイミングの良し悪しの影響を少なからず受ける事になります。
なので、自力での選択肢開拓に不安があれば、やはり業界内の転職市場に通じている会社に登録してマッチングして貰う、というのがベターかと思います。
・・・色々とお話しして参りましたが、実際にお会いしないでアドバイスさせて頂くのは、難しいところがあります。
十分な回答ができたとは思えませんが、おそらくは今後の経過もご連絡頂けるものと思っております。
なので、これからの事は、また追々、内々にでも構いませんのでお話し出来ればと思っております。
回答のスピード感には自信がありませんが、ご連絡頂いたものには必ず目を通しておりますので、またご連絡頂くのをお待ちしたいと思います。
以上、今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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[記事情報]
2019年5月9日公開
わたしの社でもパワハラ案件で一人会社と戦いましたが何も変わりませんでした。
年単位で録音や録画を用意したにも関わらず結局加害者である管理職は口頭注意のみ、パワハラを受けた方は退社。
相談者様の問題早期解決をお祈りしております。
貴方とても優しい人。私貴方好き。
質問者さんが今の会社に恩義を感じていて、もめ事にしたくないというお考えがあれば、
勤務法人の顧問弁護士や社会保険労務士に相談するという選択肢もあるかと思います。
人事総務的な部署のが普段やり取りをしているのでツテがあればその人達に紹介してもらうか、無理であれば
本店or本社もよりの所轄労働基準監督署にいきさつを話せば顧問の専門家を教えてくれるかもしれません。
法的な手続きを取らずとも専門家が間に入り、パワハラに関して何らかの補償をうけられる可能性がありますし、
親身な専門家であれば、職場環境の改善を手助けして、質問者さんが勤続できるようになるかもしれません。
今回のは特に、楽太郎店長の丁寧親切な記述に感心しました。
辛辣なコメントをします。
パチンコに関係のない、この様な相談事を楽太郎さんにしている時点で、やはり感覚がだいぶズレています。
然るべき所に相談してください
そこから推測するに、貴方は普段から訳の分からないに行動をとって、上司にストレスを与えているのでは?
だから職場の第三者も擁護してくれないのでは?
次は教育をしっかりしてくれる法人を探して頑張ってください
お疲れ様です。相談者本人です。
御多忙の中ご丁寧な回答ありがとうございます。
現状、相談当時にいた主犯格とも言える上司の1人が異動となり、大分精神的に楽に勤務できる環境ができました。
しかし、未だに業務に関係のない人格否定的な上司からの発言があるなど、精神的苦痛は避けられない店舗ですので、転職も視野に入れて行動していきたいのですが、現在の精神状況的に転職の為の具体的な行動を取ることが出来ない状態(過呼吸の発作が出てしまうので、電車に30分も乗ってられないです。面接や筆記試験等の環境にその状況で耐えられるとは思いません。)ですので、薬で症状を抑えつつ、今の職場にてもう少し頑張ってみようと思います。
また何かしらの動きがあればその際はしっかりと報告をさせていただきます。
老婆心ながら、そういったご連絡は管理者さんご本人に直接された方がいいですよ。ここは衆目の目にさらされるコメント欄ですから。