今回は、日々の営業現場の事情というよりは、俯瞰的な視点で今の業界事情を見渡してみようと思います。
激戦区内の店舗序列に変化
一般に「激戦区」とされるエリアは全国に複数散らばっています。
例えば、大宮駅/蒲田駅前など従来の勢力図に超大型店が割って入った事により商圏全体が刺激されたようなエリアもあったり、福岡駅/名古屋駅/大阪駅/新宿駅/池袋駅/上野駅周辺のようにいつの時代も20~30店舗前後がしのぎを削りその中で目まぐるしく店舗間序列に変化が出ているとされるエリアもあります。
しかし、こういった名だたるエリアでさえも、商圏として常に「熱い」のか?
どこかのお店が必ず、何かしらのイベントをやっていて、打ち手にとって「そこに行けば、事足りる」ようなエリアなのかと言えば、必ずしもそうではありません。
まあ、商圏分析は、実際にその土地に出向いてちょっとリサーチしてみた程度では実情が分からず、本当のところは居住民や日常的にそのエリアに出入りしている層でないと語れなかったりします。
情報提供して下さる方々との遣り取りや、業界誌が特集的に取り上げる商圏レポートなどを見るにつけ最近思うのですが、先ほど挙げた「激戦区」に限らず、エリア内の状況には非常に大きな変化が出ているのが今の時期にあたるのかなと、そのように思っております。
台数過多のエリアも…
現在のホール状況を俯瞰すると、
- エリアの居住層および流動的な若者層をメインとするデイタイムユーザー
- 会社員層をメインとするイブニングタイムユーザー
これらに限らず、あらゆる属性の打ち手が、それぞれの活動時間帯でフルで集まっても、そのエリアに設置されている台数が埋まらないようなエリアも出て来ているように思います。
要は、台数過多のエリアが増加しているという事です。
これは、ファン人口減と遊技機の台数の関係性でも読み解く事が可能です。
ごく簡単にですが、以下でデータを紹介させて頂きます。
業界データ
市場規模に関して、初代慶次や牙狼が旧MAX機ファン人口を増やし他社も追随する傾向を強めた2009年(平成21年)における市場規模は
- 総売上金額=28兆2,420億
- 参加人口(年に1回以上遊技した人数)=1,720万人
- ホール数=12,652軒
- 遊技機台数=4,506,250台
このような水準でしたが、広告宣伝規制に代表される諸規制や東日本大震災などが影響した2011年(平成23年)のデータでは
- 総売上金額=25兆4,890億
- 参加人口(年に1回以上遊技した人数)=1,260万人
- ホール数=12,323軒
- 遊技機台数=4,582,784台
このような水準になり、最新にあたる2016年(平成28年)データでは
- 総売上金額=21兆6,260億
- 参加人口(年に1回以上遊技した人数)=940万人
- ホール数=10,986軒
- 遊技機台数=4,525,253台
こんな感じになっています。
※[参照①]公益財団法人日本生産本部余暇総研
『レジャー白書2017』
※[参照②]警察庁
各年度における「風俗環境の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」
この参加人口を、年齢層や年収ベースでより細かく見れば、ボリュームゾーンと言えるのはやはり現役世代ど真ん中の男性である事が見て取れ、その内容は
- 年収300~599万円範囲の有業者の遊技率は16%以上
- 30代前半の男性有業者の遊技率は20.7%
- 40代前半の男性有業者の遊技率は19.7%
こんな感じになっています。
※[参照]総務省
「平成28年 社会生活基本調査」
こういった状況にあって、無茶苦茶簡単にお話しすれば、この業界を語る際に良く言われている
- 店舗数はガンガン減っている
- 参加人口はガンガン減っている
- 遊技機設置台数の水準は維持している(店舗の大型化)
という事が良く分かり、その中で、更に世の中的な事情も加味して考えると、ホールのメイン客層のひとつである30~40代男性有業者層は、生き残った店舗同士で取り合いになっている、という状況が見て取れるかと思います。
この状況で、どうにかこうにかやれているお店なら構いません。
しかし、集客状況や懐具合が悪いお店がどんどん増えており、それは
- 半端な規模の大型店(500台水準)
- 中小ホール
こういったお店であると言えます。
半端な大型店と中小ホールの苦戦
中小ホールがしんどい状況なのはイメージできるが、なぜ「大型店」でも苦戦している場面があるのか?なぜ ”半端な規模” という注意書きが付くのか?
これに関しては、十数年来そのエリア内において最も設置台数規模が大きかったお店が、それを遥かに上回る規模の「超大型店」にシェアを喰われるという現象が起こっているエリアもあり、序列が変化している場合もあるからです。
関東圏の読者の方であれば、地方などからの進出組による700~1,000台規模の新規出店で、かつてそのエリア内において設置台数が最も多く(400~500台水準)集客率No.1であった「地域一番の大型店」であるマルハン、ガイア、ピーアークなどが、楽園などに代表される「超大型店」に王座を明け渡した場面を見て来たでしょうから、何となくイメージして頂けるのではないかと思います。
そして、更に序列の下位に目を遣れば、営業規模は小さくても、かつて「地元の名店」や「老舗」と目されていたお店が、どんどん廃業している現状があるかと推察します。
こういった厳しいエリア状況で、集客に苦労しているお店が何を考えているかと言えば、それは取り締まり行政側が法規でも諸規制でも何でも良いですから何かを緩和してくれる事や、初代CR AKB48クラスの魅力的な遊技機が登場してファン回帰現象が起こるなどといった、大局的な事ではありません。
一番考えている事、願っている事は、エリア内で同じく集客に苦労している他店が潰れて間引き現象が起こり、自店に流れてくる客数が増える事です。
しかし、私見では、多くのその淡い期待は、叶わないものと見通します。
激戦区で間引き効果は発生しない
前述した通り、激戦区とされるエリアは全国に沢山ある訳ですが、こういったエリアで、今は運営状況が悪いが我慢比べに勝ち残って行けばいつか間引き現象が起こり自店も一定の客数を維持できると考えている中小ホールには、残酷な結果が待っているものと見通します。
その理由は、
①店舗数或いはエリアの設置台数は、事業継承や吸収合併等によって、短期且つ大量には減らない
②間引き現象は、ファン人口減によって相殺されて、その効果を実感できない程度に減算されてしまう
この2点が挙げられます。
①に関しては、読者の皆さんも業界ニュースに触れた際に、あるエリアの名のあるホール企業が、近隣で廃業の憂き目にあった店舗/ホール企業を吸収するという場面を沢山目にしているかと思います。
また、都市部では特にそうですが、どこかのお店が潰れてカラオケ店にでもなるのかな、と思っていたら、他のホール企業が居抜きで入って来てまたパチ屋になった、という場面もあるかと思います。
まあ、結局はいかに都市部でもその中で立地の良し悪しはあるので、何か悪い要因があるから以前のお店は潰れてしまった訳で、そこに居抜きで入っても上手く行かず長持ちしないとも言えます。
しかし、それでも、エリア事情にそこまで詳しくない地方のホール企業がポンと入って来て店舗数や設置台数規模が維持される(維持されてしまう)という現象は、結構沢山目にする機会があるのではないでしょうか。
次に、②に関してですが、これは別段改めて説明するまでもないでしょう。
諸々の撤去問題なり、規則改正に伴うスペックダウンの事実、それに対する懸念という遊技マインドの低下に関わる諸事情によって、ファン人口減は更に加速する可能性があります。
こういった大きな流れが、足元で起こるちょっとした間引き現象を飲み込んでしまうという事です。
日中1,500人程度が出入するエリアがあったとして、仮に店舗数や設置台数がそれなりに減ったとしても、そこで生き残った中小ホールが1,500人の遊技客の取り合い/割り算に参加できるかと言えば必ずしもそうではなく、その商圏内遊技人口は半数以下にまで減少している可能性もあるという事です。
経営者しかいない
何か、身も蓋もないような見通しに感じられるかも知れませんが、私がいつも極端に悲観的なスタンスで業界の先行きを見通している訳ではないのは、現在の業界事情を見れば読者の皆さんはご理解頂けるかと思います。
プラス材料よりは、マイナス材料の方が圧倒的に多い訳ですから、悲しい事ではありますがこれがリアルな見通しだと、私としてはそう思っております。
では、それほどまでにしんどい状況で、どのように企業経営/店舗運営するかですが、他社/他店が潰れて行くのを見ながら黙って我慢していても何の恩恵にも与れないため、何かしらのアクションが必要です。
しかし、時代錯誤的な厳しい営業目標に縛られた営業現場では、何のアクションも起こせません。
要は、経営者しか、今後の変化に対応する事はできないと考えます。
本当に今後も、遊技場経営を続けて行きたいのか?
それとも、別に他の事業でも良いのか?
こういった、そもそものところを自問自答しなければならない経営者が、全国に沢山居る/今後出て来るように思います。
読者の皆さんは、どのようにお考えでしょうか?
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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[記事公開]
2017年10月13日
箱の立地条件のお話で1ユーザーとして個人的に思うのですが、
箱に流れる仕組みや場所などの仕掛けを小川でも大河川でも、海老やら鯛からなる我々は通過しますが、漁師に求める事はアナログな技を確実に決めてほしいなと。
1.当たれば「おめでとうございます」と言ってほしい。
2.当たれば「飲み物どうですか」とサービス利用をしっかり促してほしい、
3.天候の悪い日の来店客には解りやすいくらい接客レベルを上げてほしい
4.駐車場がある店舗は警備員さんも「いらっしゃいませ」と挨拶してほしい
魚が減っているのも、
餌が悪くなっているのも、
仕掛けについて漁業組合が煩くなっているのも解ります(笑)
下り傾向→人件費をカットする仕組みは
理解できますが、
本当の漁師を育てる事ができないのなら
あなた方が降りてきて、逆に管理側をオートメーション化してほしい。
何千回とリリースされた魚は、好む漁り手を選ぶと思います。
難しいかもしれませんが、ホールスタッフを人情味をもつ高齢者再雇用で廻す勇気がある店舗とか出てきてほしいものです。
■馬鹿なユーザーの戯れ言を許してください。
変なウサギ さん
嘘みたいな本当の話ですが、「天候の悪い日の来店客には解りやすいくらい接客レベルを上げてほしい」という事に関して、雨降りの日には赤絨毯を引いてエントランスからスロットコーナーのパルサーなどに一本道を作っていたお店がありましたね。20年くらい前ですが。
稼動もデータも良かったので、設定はたぶん本当にまともなものを使っていたのだと思います。
赤絨毯には、たぶん年配客が滑って転ばないように配慮する意味合いもあったのかなとも思います。
懐かしく思い出しました。
パチ屋で通路歩いてるときさぁ、
反対側から歩いてくる奴いるけど
あれなんなんすかね?
パチ屋の通路って狭いじゃないすか?
野郎の汚い面とか視界に入ると気分悪くなるし、
何よりも臭いからマスクをしたうえで
鼻を指でつまんでる。
他に空いてる通路いくらでもあるのに
なんでわざわざ同じ通路使うか理由わかりますか?
よければ、記事とかでもいいので回答お願いします。
あかんー さん
お金が絡んだ喜怒哀楽渦巻く場所、それがホールですから、色んな人が色んな観点で他人の事を見ています。
なので、通路ですれ違ったその人も、自分に対して同じような印象を持っている可能性はありますね。
汚い野郎だなとか、なんで敢えてこの通路歩くんだよ、とか。
当方大宮近辺ですが、行きつけの店もあの手この手で以前やらなかった事をやってきてますね。
地方へ行くとどうも都心に比べ一足手が遅いようには感じます。
映画好き さん
以前コメント返しした時とは別のPCでこのコメント返しをしていますが、「映画好き」を変換したら「英がスキ」になりました。
前回はたしか「エイが好き」だったので、シンプルなワードですがなかなか一筋縄ではいかないものだなと、そう思っております。
あるチェーンの大型店舗が、同じチェーンの新規超大型店舗に客を喰われていることもありますからねぇ(買収でたまたま近くになった、とかでなく)。
恐らく同じチェーンの大型店舗の客を喰ったとしても、その他の近隣の大型店舗の客を奪いたいというチェーンの目論見なんでしょうが、大型店舗の店長さんがカワイソウ(´・ω・)
ゴンザレス さん
大型店の店長だけに、Oh! GOD!(オーガッタ!)という気持ちかも知れませんね。
山田くん、楽太郎さんの座布団全部取っちゃって(・ω・)ノ
ゴンザレス さん
残念ながら、その山田は私とズブズブの関係です。
私の打ち子なので。。。
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マルハン、ダイナム級の全国チェーンのパチ屋が店畳んでるのはカジノ法案正立見越しての事
匿名 さん
私自身はそういう観点で見た事はないですね。
マルハンの数店舗の閉店は、そのエリアでの業績不振と物件更新のタイミングがカチあって更新せず退去。
ダイナムの閉店は事例として手元に無いのでノーコメント。
その他の300~500台規模のお店が業績不振なのは、減り続けるエリア内の遊技人口に設置台数が見合わなくなり客数不足になったのと、新規出店の別店舗から喰われた格好。
ざっと、こんな感じでしょうか。
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