今回は、釘調整に関するご質問にお応えします。
養分太郎 さんからのご質問
いつもブログを拝見させて頂いております。
この度はパチンコの出玉や収益についてお伺いしたいことがあり、思い切って問い合わせフォームに書き込んだ次第です。
拙い文章とはなりますが、何卒ご回答頂けると幸いです。
私自身、パチンコや経営について詳しい知識を持ち合わせているわけではなく、月に数万円使い勝つときは勝つ、負けるときは負けると言ったごく一般的なユーザーに分類されると思います。
日頃、貴ブログを拝見している中で、釘調整についての記事を時折目にしますが、私くらいのユーザーでも、原則釘調整は禁止とされていることを認知しています。
中には調整を行っているホールがあることも承知の上ではありますが、仮に釘調整の一切が禁止であったとして、ホールの経営としてはある程度の稼働が見込めたとしても、ノルマを設けたりして経営を続けていくことはできるのでしょうか?
また、以前出玉調査系の某パチスロ動画にて、北斗無双の出玉が信じられないほどになっており、特定日に狙い撃ちで、多くのあたりをつけることが物理的に可能なのか気になって仕方ありません。
本当に拙い文章で申し訳ないのですが、端的に申し上げると
- 釘調整ができない中で利益調整は可能なのか?
- 特定日にパチンコで出玉感を演出しているホールがあったが、現状、パチンコの出玉をある程度任意のものにすることができるのか?
という問いになります。
お忙しいところとは思いますが、ご回答頂けることをお待ちしております。
________
ここまでが、養分太郎 さんからのご質問です。
それでは回答です。
回答
結論
まず、結論から先にお話しします。
それぞれのご質問に対して、
Q1:釘調整ができない中で利益調整は可能なのか?
A:傾斜での調整には限度があり、全く釘調整しない、という条件下においては、メーカーの設計、製造(工業製品としての量産精度)、対顧客説明の精度などにかなりの部分依存する事になる。
現行機においては、25~28個交換店の場合だと、完全無調整で1店舗まかなえるだけの利益を残す事はほぼ不可能である。
楽太郎の経験的には、35~44個交換店であれば、取り揃える機種によっては完全無調整でも4,000~6,000円水準の台粗利を残せるため、営業は十分に可能だと推察する。
ただし、PS併設店の場合、パチンコが35個よりも低い交換レートだと、一物一価の縛りを受けて上記の例ではスロットが7~8.8枚交換になってしまう。
この観点では、併設店として営業していくにはハードルが高くなる。
Q2:特定日にパチンコで出玉感を演出しているホールがあったが、現状、パチンコの出玉をある程度任意のものにすることができるのか?
A:機種ごとに想定アウト個数や客滞率などの数値を元にシミュレートし、それ相応の釘調整を施せば、それなりの営業イメージは湧いて来る。
しかし、高い精度で実際にそのようなホール運営ができるかと言えば、確率商売という事もありデジタル抽選機では思い通りにならない場合も多い。
役物抽選要素がある機種に関しては、遊びやすい状態で提供する事で、還元度が高い営業にしやすい場合が多い。
こんな感じです。
Q2に関しては、この通りの回答で良いかと思いますが、Q1については解説が必要かと思います。
後段にて、資料を交えながら補足して参ります。
補足
出荷時の状態は…
メーカー側が、納品ゲージ(出荷釘、無調整状態)において、25個交換/無制限営業の店舗でも一定水準以上の粗利が残せる様な設計にした場合は、理論上はいかなる交換個数や営業形態(一回交換、ラッキーナンバー、定量制など)のお店であっても利益が残せる事になります。
しかし、現状では、そのような機種はまず存在しません。
しかし、メーカー側も、ホール側があまり釘を触らなくても良いように、或いは微調整程度で必要粗利を残せるようなゲージで開発しているのではと見受けられる機種は増えて来ています。
以下で、新機種が開発され、機種資料なり見本機なりがホール側の目に留まるようになるまでの流れを、ある機種の実際の例を挙げながら解説して参ります。
新機種の導入検討の簡易フロー
まず、開発/販売の目処が立っていよいよ顧客(ホール)に対して機種仕様や販売条件などを説明しつつ営業セールスする段階まで来たとします。
その際にどの程度の機種仕様を説明できるのか、それはデータ提供するのか、口頭説明のみなのか、ペーパー資料で渡すのか、といった事はメーカーや機種によってまちまちです。
ホール側としては、メーカー側が提供した機種仕様データに関しては、それを一応100%信用して選定時の参考にします。
見本機を試打できる状況であれば、なるべく早い段階でそのようにし、設計値が遊技状況に反映されていそうかどうかも含めて、自身の遊技感覚を元に最終的な導入/見送り判断に至ります。
この流れを、具体的に示します。
メーカーとの遣り取りの簡易フロー
<5月中旬某日>
メーカー営業マンから「8月20日にパチンコ新機種Aの販売目処が立った」旨の連絡がオフレコで来る。
「詳細は後日、スロットB機種の案内でお邪魔した際に、先行情報としてお伝えします」との事。
<6月下旬某日>
営業オープンしたため、機種Aの仕様について、資料に基づいて営業マンが説明に来る。
「お伝えしていた通り、8月20日全国導入開始予定です」
「面倒な販売条件などはありません。ご希望台数をご用意できます」
「詳細はこちらです」
「リミット上限回数の到達(完走)率は約60%です」
「最高出玉で完走した際(振り分けが全て最大ラウンド)は、約6,880個です」
「平均出玉での完走時(振り分けが主に中間ラウンド)は、約5,280個です」
「最低出玉での完走時(振り分けが主に最小ラウンド)は、約3,680個です」
「完走の所要時間は15~20分間を想定しています」
「完走後に時短100回がくっついて来ます」
「仮に納品時のまま(=出荷釘、無調整)で運用した場合でも利益が残せるか、ですか?台粗利の目安データなどをこちらから提供する訳にはいきませんので、ご容赦下さい」
などといった具合に、資料を元に、記載していないデータも口頭で補足しつつ説明します。
ここで重要なのは、質疑応答の精度であり、例えば前述した中にある完走所要時間や目安となる台粗利数値などは、資料に記載していないのでホール側から聞かないと教えてくれない情報という事になります。
説明を受けた内容で導入検討対象として候補に挙がれば、後日、展示会/見本機試打に赴き(大手の場合は見本機持参の場合もあり)実際の釘並び(ゲージ)なども考慮しつつ更に検討を進めます。
検討材料
この時点で、ホール側の手元にある検討材料は
- メーカー提供の機種仕様データ
- 営業マンとの質疑応答時の回答データ
- メーカー提供の見本実機
- 見本実機における「出荷釘」の状態を目視確認
- 「出荷釘」状態での試打
こんな感じです。
これに加えて、自社の営業サポート部門で詳細なシミュレートを実施して、各店舗にそのデータを提供するホール企業も多いので、こちらも手元にある検討材料に加えて良いかと思います。
私の所属会社のような中小ホール企業ですと、だいたいは自分でシミュレートしたり、それなりの業界歴があれば
「等価分岐だと■か…ウチの交換個数だと、納品ゲージでも台粗利●円くらいの運用にはできるかな」
などと目算がつきます。
また、大きな声では言えませんが、この時点で
「仮に納品ゲージで想定した台粗利にならない場合は…ここで遊技数値を調整すればいいだろう」
といった具合に、これもある程度は目算がつきます。
ちなみに、余談ですが、引退した私の釘の師匠などは、古い世代でありかなり無茶苦茶な方でした。
しかも、ホール側の方がメーカ側よりも力関係が強かった時代の業界人ですから、新機種の先見せや試打の段階で少しでも納得がいかなかったり自分で疑問に思う点があれば、
「おい、ハンマー持って来い」
と営業マンに要求してガラスを開けさせ、その場で自分の思う通りに釘調整して試打して、それを検討材料に加えていました。
もちろん、このような事は、今ではできません。
違っていた場合は?
まあ、そんなこんなで、新機種導入の検討にあたり、ひと通りのデータは揃った事になりますが、ここで重要なのがメーカー提供のものが大部分だという事です。
なので、極論で言えば、先程箇条書きしたものそれぞれにおいて、
・メーカー提供の機種仕様データ
⇒実際に納品された遊技機における営業データと大きく違っていた場合はどうするの?
・営業マンとの質疑応答時の回答データ
⇒営業マンのアナウンス内容が、実際の営業データと大きく違っていた場合はどうするの?
・メーカー提供の見本実機
・見本実機における「出荷釘」の状態を目視確認
・「出荷釘」状態での試打
⇒納品された遊技機が、事前に確認した見本機と異なっていた場合にはどうするの?
こんな具合に、検討材料としていたもの、前提条件と言っても良いかと思いますが、これらが相当な割合で崩れる事にもなります。
まあ、それでも、釘確認シートの運用が始まる前までであれば、
「事前に聞いていたり、試打したのとかなり違ったり、納品ゲージのばらつきも激しくてハッキリ言って製造精度が低すぎるけど、まあこっちで釘調整すればカバーできるレベルだからいいや」
こんな考え方で対処する事が可能でした。
釘確認シートの運用開始以降は…
しかし、今現在は、明らかに目視できるレベルで釘を曲げる行為には、
- 遊技客による通報リスク
- 所轄による検査時のリスク
- 都道府県警本部による立入時のリスク
- 遊技産業健全化推進機構による立入検査時のリスク
こういったものがありますので、派手にやる訳にはいきません。
また、今回のご質問は「釘調整しない」というのが前提でした。
ここで、最初に戻りますが
Q1:釘調整ができない中で利益調整は可能なのか?
⇒傾斜での調整には限度があり、全く釘調整しない、という条件下においては、メーカーの設計、製造(工業製品としての量産精度)、対顧客説明の精度などにかなりの部分依存する事になる。
こんな感じの回答になる、という訳です。
この手の話題は、1つの記事で読みやすい文字数にまとめるのが難しかったりしますが、ごく簡単にお話すると、ざっとこんな感じの回答になります。
以上、十分な回答になったかは分かりませんが、今回はこれくらいにしておこうかと思います。
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[記事情報]
2018年6月23日公開
台毎にメリハリのあるようなお店が無くなりましたよね。あるいは打ち出しの強弱で打ち手によって回転数に差が出るような釘プラス部分とマイナス部分がそれぞれあるような調整がほとんど無くなりました。私が学生時代は小遣いを増やすためにハネモノの釘を一生懸命見て台選びしてたのを思い出します。
あの頃と情熱が違うのもありますが、「どうせどの台も同じ調整だろう」と思って座ります。
大体風車周りが殺されてるか、ヘソに寄っても勢いが殺されるパターンばかり。ようやく右打ち出来たと思えば右も削られている。どの店も右打ちをストレスフリーで打てる台と言ったらダンバインくらいしか思いつきません。
釘調整するのは仕方ないにしろ、せめてもう少しメリハリが欲しいし、ガタガタの釘調整はやめて欲しいですね。
釘調整に関しては三店方式による換金と同じような「グレーゾーン」「暗黙の了解」「必要悪」と言ったような感覚がありましたが、いやはや、何とも大変な時代になったもんです。
ここの部分に関してはホール側に同情してしまいます。
いっそのこと、とっとと全て設定付きに完全移行してしまった方がスッキリしそうですね。
所で、メダル以上に玉の攻略雑誌に目を通さなくなって久しいですが、今の時代って釘の解説的なコンテンツって掲載出来ているのだろうか?