【寄稿】『ぱちんこと“政治”~ぱちんこ業界団体と風営法議連~』

今回は、寄稿して頂きました。

 

寄稿者紹介

ひら・ たいら氏

ひら たいら氏

<プロフィール>

長年にわたり、ぱちんこ業界に携わっている業界人。

特に、ある分野においては専門的な知見を持つ、楽太郎にとっての重要な情報提供者の一人。

 

以下、寄稿文です。

 

寄稿

『ぱちんこと“政治”~ぱちんこ業界団体と風営法議連~』

 

はじめに

“政治”とは広い概念である。

 

地方自治体を例とするならば、首長、立法(議会)、行政(役所/官僚組織)がその骨格を形成し、首長から校区/町内会までの裾野を持つ階層構造をなしている。

 

だが、ほとんどのぱちんこ業界の方にとって“政治”とは、もう少しシンプルに「警察」がイメージされるのではないだろうか。

 

よく知られているように、全国組織である全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)は中央官庁である警察庁に、各県の遊技業協同組合はその県の警察本部に、合わせ鏡のように対応している。

 

もちろん、ぱちんこ業界には、「業法」の制定や株式上場の実現など、特定の“政治”的な意図を持って活動を展開している業界団体も存在する。

 

だが日常業務に勤しむ多くの業界関係者にとって“政治”とは、警察組織がまずイメージされると思われる。

 

だが最近、警察組織以外の“政治”的動向が話題になることが多くなった。

 

尾立源幸氏への選挙協力と、「時代に適した風営法を求める議連」(以下、風営法議連)の動向である。

 

業界全体が一枚岩となって——とはならなかったのかもしれないがとにかく、ぱちんこ業界は7月21日に投開票のあった参議院選挙において、自民党比例区に立候補していた尾立源幸氏を支援した。

 

尾立氏は、「おだち源幸遊技産業後援会」(阿部恭久会長)および「全日本遊技産業政治連盟」(伊坂重憲会長)という2つのぱちんこ業界の関係者/団体によって構成される政治団体から応援されて、当選の暁にはぱちんこ業界の、いわゆる「族議員」として政治活動を行うことが期待されていた。

 

タイムリーなぱちんこ業界から“政治”への期待とは「型式試験の“正常化”」、すなわち保安通信協会による型式試験における適合率向上のため、「試験方法の見直し」と「試験過程の透明化」を、警察庁(特にぱちんこを所管する生活安全局保安課)に対し求めることであった。

 

この尾立氏への応援については、いくつかの業界誌が5月17日に都内で開催された「前参議院議員 おだち源幸君を励ます集い」以降の動向を記事にして伝えており、また選挙応援の過程で一部のライター/タレントがツィッターなどで尾立氏への投票をファンに呼び掛けるなど、大きな話題となった。

 

尾立氏の当選はかなわなかったものの、また結果を見ればその応援は部分的なものだったのかもしれないが、業界は自らの意志で「族議員」擁立を目指し、“政治”の世界へと主体的に踏み込もうとしていた。

 

ここ数年間という直近の期間において、ぱちんこ業界と“政治”との急接近を示す具体的な動きのなかでは、尾立氏への選挙応援だけではなく、風営法議連の活動が非常に重い意味を持っている。

 

業界と風営法議連との関係が深まる契機は、2年以上前となる2017年6月19日にさかのぼる。

 

この日、保安課は業界団体の代表に対して、「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」案(以下、規則改正案)を説明した。

 

この案に危機感を持った業界関係者は、自分たちの要望を保安課に届けるために風営法議連と接触するという政治行動を採った。

 

本稿では、ぱちんこ業界と風営法議連の関係について時系列に沿って整理する。

 

ぱちんこ業界と“政治”との関係を記録しておくためである。

 

「ギャンブル等依存症」対策を目的とした規則改正?

規則改正案にあたって、「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議が取りまとめたぱちんこを含むギャンブル等依存症対策の強化に関する論点整理において、遊技機の出玉規制の基準等の見直しを行うこととされたことを踏まえ」て実施されたという説明が、保安課から業界団体の代表に対してなされていた(全日遊連・阿部恭久理事長による組合員向け文書「6月19日(月)警察庁訪問結果について(ご報告)」)。

 

また、当時出回った文書によれば、

 

「ぱちんこ遊技への依存に係る相談者の約7割は一か月当たりの遊技金額(負け額)が5万円を超え、来店1回当たりの平均的遊技時間が概ね4時間であることに鑑み、遊技客による過度な遊技を抑止するため、新たに、標準的な遊技時間(4時間)において遊技者が獲得できる遊技球数(遊技の用に供した遊技球数を減じた純増分)の上限が5万円を下回るよう(出玉率1.5倍)に制限し、対応する試験を導入。4時間、1.5倍と同水準となるよう規制を強化することにより、既存の出玉規制に比べて3分の2程度の出玉になることから、これに合わせ、1時間及び10時間の出玉規制についても規制を強化する」

 

という、出玉規制強化の“水準”についての意向が内示された(保安課「風営適正化法施行規則等の改正について」)。

 

この説明における「ぱちんこ遊技への依存に係る相談者の約7割は一か月当たりの遊技金額(負け額)が5万円を超え、来店1回当たりの平均的遊技時間が概ね4時間である」ことの根拠として、ぱちんこ依存問題相談機関の認定NPO法人リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)が発行した「2016年 ぱちんこ依存問題電話相談事業報告書」のデータが“援用”されていた。

 

この規則改正案に対して全日遊連は同月30日、当局に対して「風営適正化法施行規則等の改正に関する要望及び質問について」という文書を発出している。

 

このなかで規則改正案の特に出玉規制強化の“水準”に関して、「この4時間で5万円以下、既存の出玉規制の3分の2程度の出玉にすることが、遊技者の過度な遊技の抑止に資すると判断した根拠についてお伺いしたい」と当局に質問している。

 

この「質問」についての記述は「なお、全日遊連としては、依存と射幸性に関し、現在においても、リスクの度合いを示す確たる数値的根拠が示されているわけではないと認識している。また、リカバリーサポート・ネットワークの西村代表理事は、『RSNが報告書等で発表した相談データは、遊技性能の規制根拠となるようなものではなく、現在に至るまで、規制根拠となる機械性能が社会に与える影響について評価した学術的データの欠如について繰り返し指摘してきたところであるが、5万円や4時間等の具体的な数値設定が依存のリスク軽減につながるとした報告は行っていない。』と明言されており、あわせて、本規則改正案による規則強化の裏付けについて疑問視されている」とつづく。

 

全日遊連だけでなく、19日に保安課から招集をうけた他の業界団体も同月中には規則改正案に対する「要望」を提出した。

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風営法議連との接触

保安課からの規則改正案の内示を受けた全日遊連などの業界団体は、風営法議連に接触し業界団体としての要望を伝えた。

 

その結果、内示されていた規則の一部が、7月11日に公開された規則改正案では緩和されていた。

 

だが、「4時間で5万円以下、既存の出玉規制の3分の2程度の出玉」という大枠の“水準”は維持されたままであり、その後のパブリックコメントを経ても変更されることはなかった。

 

業界ジャーナリストのPOKKA吉田氏は、業界団体が風営法議連を動かした経緯について次のように解説している。

 

「風営法議連はカジノ法制化の進捗と併行してぱちんこ換金合法化等の国会での議論が生じることを嫌悪したIR議連が横槍を入れたため開店休業状態となっていた。

 

風営法議連にこのタイミングでコミットしたのは、業界6団体ではなく、日工組と日遊協を除いた4団体(全日遊連、日電協、全商協、回胴遊商)だった。

 

これら4団体は連名で要望書を作成し風営法議連に提出している。

 

要望書は6月末までに各団体が保安課に提出したような具体的なものではない。

 

要望書そのものを一度だけ見たがそれは『依存対策としてやるとしても、その効果等もわかっていないのにムチャクチャやり過ぎており営業者の負担が重すぎる』という感じの内容になっている。

[中略]

保安課には各改正案についてかなり具体的な要望を行っている部分も多いが、議連に対してはそもそも論で具体的ではない形での要望としている。」

(「SEQUENCE」 2017年8月号・通巻315号、p.17)

 

風営法議連は8月24日に保安課の小柳誠二課長(当時)を招致し、パブリックコメントに寄せられたコメントについて説明を求め、保安課への圧力を強めた。

 

だがその後しばらく、風営法議連による目だった活動は見られなくなる。

 

その理由として、翌2018年1月22日に通常国会が開幕し、「特定複合観光施設区域整備法」(略称「IR実施法」)案や「ギャンブル(等)依存症対策基本法」案の審議が開始されたためであったと考えられる。

 

国のビッグプロジェクトとして、「ギャンブル等依存症」対策を含め、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を実現させるための制度設計が行われつつあった。

 

またこの国会は、森友学園に関する文書の改ざんについての追求と対応に審議時間が大きく割かれた国会であった。

 

一方この時期、ぱちんこ業界では、各メーカーは改正規則に則った遊技機(改正規則機)の設計開発に注力しており、各ホール企業は毎日の営業を旧基準機の稼働に頼りつつも、段階的な改正規則機への入替を計画しつつあった。

 

だが特にパチスロでは、型式試験における改正規則機の適合率が一向に改善しない状況がつづいた。

 

型式試験に適合しなければ当然、メーカーは新機種を販売することができず、ホールは入替を段階的に実施することができない。

 

2018年も後半になると、このままの状態がつづくのであれば改正規則機への移行に支障をきたすようになるという危機感が共有されるようになっていた。

 

遊技機基準等PTの提言

2019年に入ると、風営法議連が活動を再開する。

 

風営法議連内に設置した「遊技機基準等PT(プロジェクト・チーム)」を3月12日、同月28日、4月12日と比較的短期間に相次いで開催したのだ。

 

3月28日のPTにはRSNの西村代表が出席し、報告書のデータは遊技機基準の変更に関する根拠とはなりえないこと、そして出玉率と依存問題の因果関係を証明する学術的根拠(エビデンス)はまだ存在していないことなどを改めて説明している。

 

風営法議連は4月25日、これまでのPTでの議論とヒアリングを踏まえ、「遊技機基準等に関する提言」を国家公安員会の山本順三委員長に提出した。

 

ここでは、

 

①型式試験の改善

②魅力ある遊技機の開発を可能とするための環境整備

③警察当局と業界との定期的な協議の場の設置

④風営適正化法施行規則等の見直し

⑤「ATMの撤去等」が法令等で求められていないことを確認したうえでキャッシュレス社会に対応するイノベーション促進を配慮

 

という5点が、監督官庁に対して提言されていた。

 

このような風営法議連の動きと平行して2019年に入った頃から、自民党の特に二階派より複数のルートを通してぱちんこの業界団体に対し、次の参議院選挙において「族議員」候補者として擁立する尾立氏を応援することを求める働きかけが行われていた。

 

5月17日には本稿冒頭で述べた「励ます集い」が開催され、それ以降、支援を決めた業界団体が本格的な選挙応援運動を展開した。

 

選挙結果は周知のとおりであったが、これによって風営法議連の活動が停止したわけではなかった。

 

8月5日には、4月25日に提出していた「提言書」に対する警察庁からの回答を受け取るための会合が、議連、警察庁、業界団体の関係者を集め開催された。

 

保安課の山田好孝課長は、

 

①試験方法と不適合の理由の一部を開示する方向で検討する

②業界の意見を聞きつつ解釈運用基準の見直しを検討する

③業界との会合の場を今後も設ける

④射幸性と依存問題の関連についてデータと事例を集積していく

⑤ホール内へのATMの設置は法令違反でないことを改めて都道府県警に通知を発出した

 

と、4月の提言に対応した5点を回答したのである。

 

この回答を額面通りに読む限り、4月の提言で提出された要望の具体化が保安課によって前向きに検討されている、と理解していいだろう。

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おわりに

ここまで、ぱちんこ業界と風営法議連の動きについて、時系列に沿って整理した。

 

「ギャンブル等依存症」対策としての規則改正と、その結果として表れた「型式試験の非“正常化”」は、ぱちんこ業界と監督官庁である警察庁との二者関係に、これまでは直接関与することが極めて少なかった“政治”——すなわち国会議員で構成された議連——の介入を招来した。

 

本稿では、風営法議連との関わりに既述の焦点を当ててきた。

 

だが“政治”とは、改めて言うまでもなく、極めて多面的なものである。

 

対・警察だけでも、対・国会/国会議員だけでもない。

 

ぱちんこが「ギャンブル等」と定義されたことによってぱちんこ業界は、同じく「ギャンブル等」とされた公営競技と、これから「ギャンブル等」に含まれることになるカジノを意識せざるを得ない状況にある。

 

当然、これら各「ギャンブル等」の監督官庁やIRの整備を主導している内閣府との関係も意識する必要があるだろう。

 

またぱちんこ業界に求められている「ギャンブル等依存症」対策では、厚生労働省と地方自治体、医療機関、そして地域の社会資源との協働も必要になるはずだ。

 

また、ぱちんこ業界にとっての“政治”が「警察」だけではなくなった現在の状況は、警察組織に対応して存在してきた「組合」のほかにも、多様になった“政治”に対するぱちんこ業界側のカウンターパートとして存在し得る余地を生み出しつつあると思われる。

 

「警察」/「組合」のパートナーシップで動いてきたぱちんこ業界は、この歴史的な転換点を経て、どのように変わっていくのだろうか。

________

寄稿文は、上記の通りです。

 

 

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[記事情報]

2019年8月13日公開

3 comments on “【寄稿】『ぱちんこと“政治”~ぱちんこ業界団体と風営法議連~』

  1. ジャグキチ

    楽太郎店長、この寄稿文はあまりにもヒドい。

    権利だけ主張して義務は果たさない、チョンコそのもの。
    業界が業界だけにこの寄稿文を寄越した奴もチョンコなんだろうねぇ。

    笑っちゃったのが、キャッシュレスのクダリ。だったらさ、クレジットカード使える様にしてみなよ。

    Reply
  2. 匿名

    全く法令や規則を守らない上に、金の為に何でもやりたい放題した挙句、脱税も当然のようにしているゴミ業界が何言ってんだよ
    そのくせ都合の悪くなると被害者面までする始末

    こんなバカ業界人って業界が推した政治家が当選したら何でも思い通りになると思ってるんだろうね
    ゴミクズって頭悪いパチンコ業界人にぴったりな言葉だよな

    Reply
  3. 匿名

    残念ながらこの調子では業界まるごと潰される日も近いですね~
    上記の文章を見てもこの業界の関係者が俺は一切悪くねぇ!としか言ってないってことですし
    少しは自ら襟を正して生活保護受給者や借金持ちは弾く仕組みを導入したら如何でしょうか

    Reply

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