今回は、メーカーの動向についてのご質問にお応えします。
びーふしちゅー さんからのご質問
楽太郎さま こんにちは。
寒さも厳しい季節、2月からの規則改正などで大変な毎日をお過ごしかと思います。
こちらのブログは一般ユーザーとして、楽しく拝見させていただいてます。
お体に無理の無いよう、これからも更新を続けていただけることを楽しみにしています。
さて、本題ですが、昨今パチンコ業界で話題となっている規則改正ですが、その後の新台として封入式パチンコが導入されるとの噂を多々耳にしております。
しかし、この封入式パチンコは、何年も前から出るぞ出るぞと噂ばかりが先行し、全くお目にかかることがありません。
過去、いくつかの記事を楽太郎さまのブログで拝見いたしました、その後どのようになったのか、もし可能なのであればリリース時期などお教えいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします
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ここまでが、 びーふしちゅー さんからのご質問です。
(全文、そのままです)
それでは、回答です。
回答
過去記事一覧
まずは、これまで公開して来た管理遊技機関連の記事を紹介させて頂きます。
業界内では、この規格の遊技機の呼称は
- 封入式遊技機
- エコ(ECO)遊技機
- 管理遊技機
このように変わって来ており、過去記事の表題についても違いがある事をご了承願います。
【参考】
①2016年10月15日公開
『ECO遊技機(封入式)の開発の話ってどうなったの?-回答』
②2017年1月15日公開
『ECO遊技機(封入式)のハード面やシステム面で知っている事を教えて下さい-回答』
③2017年6月11日公開
『上司が「管理遊技機(ECO遊技機、封入式)の本体価格は10万円水準」と認識しているが妥当か?-回答』
④2017年9月2日公開
『ホールの費用負担が減って打ち手への還元度が上がり、ファン人口減に歯止めが掛かる未来はあるか?-回答』
過去記事に関しては、こんな感じです。
まだご覧になっていない記事がありましたら、この機会にご一読頂ければと思います。
お断り
本件に関しては、ホール側の人間である私にとっては(本音を申し上げれば)「メーカー側の方が運営するブログで質問して下さい!」という事になりますが、それではまともな返事とは言えませんから可能な限り回答させて頂こうかと思います。
まず、私のような現場店長レベルが日々接しているのは、せいぜいメーカー支店長クラスまでです。
新機種購入やアフターケアに絡んで、会社対会社で何か激しく「揉めた」際には、本社(支社)の営業次長クラスくらいならこちらに出向いて来て「あーだ、こーだ」とお話しする機会はありますが、やはり日々の接点は営業支店営業部(営業本部、営業課、PS事業部などの場合も)の
- 平社員(いわゆる営業マン。ホール対応最前線であり、精神的にも体力的にも大変)
- 主任(ちょっと偉そうだが、実はあまり偉くない。キャリアがある営業担当だが、悲惨な場合は15年選手くらいでもずっと主任のまま…)
- 係長(ちょっと偉いが、メーカーによっては主任と大して変わらない。都市部の支店でこの役職なら、地方拠点に異動すると「支店長」扱いの場合もあり)
- 課長(偉いが、偉さの度合いはメーカーにより大差がある)
- 次長、部長、支店長(偉い)
ここらへんまでです
つまり、ここらへんの方々から知らされる情報くらいしか、私自身は持っていないという事になります。
それ以外では、付き合いがある販社さん経由で「●社の本部長が~的な事を言っていた」といった形で情報が得られる事もあります。
このレベルの情報だと、半年くらいして実際に聞いた通りの事が起こった場合には「あの時に聞いたの、これか!」といった具合に、だいぶ先行情報だったんだなと実感する場面があったりしますが、こういうのはあくまでもオマケ情報として漏れ聞く程度であり、私などは大手メーカーの営業本部長クラスと質疑応答できるような立場ではありません。
そしてもちろん、それ以上、つまりより経営者側の立場の方々の言動に関しては、業界会合の場での出来事を業界誌などでチェックする以外には知る手立てがありません。
そんなこんなで、管理遊技機のプランについて、現時点で知っている事をお話しして参ります。
管理遊技機の近況
この管理遊技機というワードを使って、広く一般向けに発信された場としては、手元にある情報では日刊ゲンダイの2017年(平成29年)7月28日号が最新です。
こちらには同年5月29日にパチンコメーカー団体である日工組の新理事長に就任した筒井公久氏(SANKYOの代表取締役社長)へのインタビューが掲載されており、業況の現状認識なり今後の方針的な事が触れられている中で、管理遊技機の見通しについても回答されています。
以下で、その全文を抜粋します↓
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日刊ゲンダイ
依存(のめり込み)問題にも関連して、現在「管理遊技機」というものを準備中とのことですが、具体的にはどういうものなのでしょうか。
筒井氏
遊技機の情報、特に出玉情報を管理することで、射幸性の管理ができる、と考えています。
また、かつては廃棄台の野積みが社会問題化したこともありました。
今はメーカーが廃棄費用も負担し、リサイクルの専門業者と契約しているので改善されています。
その点でも、管理遊技機ができれば、遊技機の設置情報も一元管理できるようになり、不法投棄がなくなる。
もうひとつは省資源ですね。
ホールから外れた遊技機を回収してリサイクルできる。
管理遊技機には、多くの点で副次的効果が考えられます。
日刊ゲンダイ
遊技機の一部の情報とは、プレイヤーの遊技履歴も管理できるのでしょうか。
筒井氏
そこは長期的な課題ですね。
プレイヤーの使用金額や遊技頻度の履歴を確認できたり、もしくはご家族の方が申告していただければ、あらかじめ登録されている個人のID情報にアクセスし、使用金額を制限するといったことも可能になっていくでしょう。
ただ、これを実現するにはシステム化と正しい個人情報が必要になります。
制度化やシステム化には相当な時間がかかると思っています。
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ここまでが、直近で一般向けに管理遊技機について触れられた話題です。
このインタビューからは、はじめに紹介した呼称の変遷にもある通り、ECOの観点や、従来のパチンコ遊技機を封入式という新形態に改良する事、またデータ管理精度の向上により依存問題対策にも資するように、といった具合に、色んな要素が盛り込まれたプランである事が窺えます。
なので、素人目で見ても、そんなに簡単には実現しないだろうし、開発/販売されても実際に全国のホールに導入が進んで大部分が管理遊技機に移行するまでにはかなりの年数が掛かるであろう事は容易に推察できます。
[参照]日刊ゲンダイ
2017年(平成29年)7月28日号
日工組の動向について
日工組としては、2017年(平成29年)の第57回総会での決議事項として5つの内容を定めていますが、その中のひとつに
「遊技業界の将来を見据え、環境整備に向けた管理遊技機の開発を促進するとともに、情報の管理システムを構築し健全化を推進しよう」
このようなものがあります。
※日工組HPより抜粋(該当ページにリンクします)
©日本遊技機工業組合
今回の規則改正と技術上の規格改正によって、出玉/メダル情報の電磁記録化が認められる事で管理遊技機の姿がより明瞭に見えて来ました。
また、メーカー側ではより細かく内規も改正して、規則改正後の新機種の開発への道筋を明らかにしました。
しかし、業界誌のプレイグラフ社による日工組関係者への取材によれば、
「これでメーカーは新規則機の開発に集中できる」
「管理遊技機はまだ時間がかかるが、新規則機自体は夏前に出てくるのではないか」
との見通しが語られたとの事です。
※『PLAY GRAPH』2018年2月号より(p.23)
この事からも、管理遊技機のプランはまだ企画段階ないし開発室内での事に留まっていて、ホールはもちろん世に出て来るまでにはまだ年月を要する事が推察されます。
周辺機器との関係性も
余談ですが、管理遊技機だけでなく、ホール周辺機器においても従来的な設備機器の在り方に変化が出て来る可能性がある事を、ごく簡単にではありますが紹介させて頂きます。
一例として挙げさせて頂くのは、
- ホールコンピュータ機能の一部(遊技データなど)
- 不正監視システム
- 会員システム(遊技動向などの顧客データ)
- 玉/メダル貸し機
- 各台計数機
これらの機能が一体になった総合管理システム「マースユニコン」です。
※[参照]Amusement Japan HP 2017年7月5日UP
「マースエンジニアリング『マース ユニコン』発表 ホールコンピュータが死語になる!?」より
©Amusement Press Japan Inc.
この設備機器は、自己/家族申告により1日の上限使用金額に達した遊技客に対して、プッシュ通知で遊技中の本人に液晶画面でアラートを出したり、忘れ物を預かっている常連客に個別でお知らせする事なども可能です。
お店の巡回スタッフに腕時計型のウェアラブル端末を携帯させ、ランプコールや異常発生、また特定会員の来店などの情報をリアルタイムで振動通知/表示する事もできます。
こういった周辺機器と、管理遊技機が主流になったホール風景は、いつになったらお目にかかれるのかと気になるところではありますが、やはり設備の刷新には多額のお金も準備期間も要する訳ですから、ホール側にそれだけの余裕ができて来ない限りは実現するにはまだかなりの年数が掛かりそうだな、というのが実際のところです。
また、管理遊技機の機能は、先ほど例として挙げたような周辺機器機能の一部ないし全部とバッティングしますので、例えばユニットサンド、還元機、計数機メーカーやそれらのメーカーで構成される団体との利害関係の問題も生じますから、尚の事すんなりとは物事が進まない事が予想されます。
なので、私見では、オリンピック時期までのホールデビューは不可能であり、どんなに早くても試験導入開始まで3~5年は掛かり、全国的に導入が進むまでとなると10年スパンでの道のりになるのではないかと、そのように見通しております。
以上、びーふしちゅー さんからのご質問にお応えする形で、管理遊技機の近況についてお話しして参りました。
今回は、これくらいにしておこうかと思います。
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[記事公開]
2018年2月13日
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封入式の台もそうですが、6段階設定の台もなかなか出る話聞きませんね。
今月以降検定受ける台には6段階設定が認められてるはずですが。
設定を設ける事が出来るってだけで、設定のある台でなければならないわけではないから、やはり設定のある台を作る気はメーカーには無いのでしょうかね?
まあ私は釘は見れても設定はわかんないから、設定をある台ばかりになったらパチンコやめようと思ってるからそのほうが助かりますが。(だからパチンコの収支はプラスですがスロットはやりません)
うーん。。
まさか健全化と称してプレイヤーの遊戯管理までされると
あまりいい気持ちのするものではないですね(-_-;)
特に特定会員の来店時の情報をリアルタイムでのくだりは完璧に誰得機能ですね
見当違いの無駄開発せず
現金ではなく電子決済での遊戯が可能にした方が現実的な依存症対策になると思うんですよね
管理遊技機はまだだけど、設定つき(3段階)は今春SANKYOから出る予定
プレイヤーの遊技状況改善はのめり込みを停止させるなら致し方のないことだ
カジノ法でもマイナンバーで管理という話があるのでおそらくそういった個人情報で個人を何とかして特定し、金額なり時間で制御する必要がある
タスポのように許可制にして全ホール共通の個人データとして扱い、遊技できないように制度上では努力しなければならない。そういうことを管理遊技機は目指している
それでも複数カード持ちとかで問題が顕現するかもしれないが、前よりは抑えられるだろう
高齢者の自主的免許返納と状況は似ているというものだ。運転したい奴は家族が売った車を買い直してでも、無免許でも運転し事故を起こすのでそれこそ軟禁でもしないと防げない
一部の者が目立つことで規制されるのはどの業態でも同じこと
ほとんどの遊技客は『自分のできる金額と時間』で節度をもって遊技している
耐えられないと思うなら遊技をやめる
だから客数は減るんだし売り上げも下がる
『目立つ一部』への対応はどの業界でもコスト増となるがそうやって適正な、洗練された国にしてきた