組合の取り決めを無視する店舗/ホール企業は、金景品流通システムから排除せよ【後編】

本記事が、換金に関する連載の最後になります。

 

おさらい

【前編】(リンクします)では、知人との会話の中で

 

「営業状況が悪い中で、等価是正の取り決めに反発するなどして組合(全日遊連)を脱退するホール企業が増えるのでは?」

 

「その抑止として機能しそうな施策はないか?」

 

こういった主旨の質問があり、それに対して私は

 

「組合組織を脱退するのであれば、金景品を使用した換金システム(或いはそのエリア特有の特殊景品を使用した換金システム)から排除する」

 

という施策を提示して回答した事を紹介しました。

 

一見すると乱暴にも見えるこの施策に対して、【中編】(リンクします)において

 

「エリア/店舗ごとに形状などに大差があり、ぱちんこ業界内でしか機能しない”特殊景品”による換金システムが、東京都のように世間一般にも流通していて取り引き上の価値が認められている”金地金(金景品)”による換金システムに改められたのには、歴史的な経緯がある」

 

「その歴史的な経緯には、取り締まり行政も絡んでの”暴力団の排除(暴排)”という事情がある」

 

この事を、1990年代初頭の東京都世田谷区を舞台とした北沢戦争を通して、説明させて頂きました。

 

今回の【後編】は連載の締めにあたり、私が前述のような組合の取り決め遵守および脱退抑止施策を挙げた事の理由/妥当性についてお話しして参りたいと思います。

 

それでは、前回【中編】で扱った暴排への取り組みの流れを踏まえて、以下で、都遊協の金景品取り扱いについての決議文をご覧頂きます。

 

決議文

金景品取り扱いに関する決議文

※(案)とありますが、実際にこの内容に沿って決議されています。

 

この決議文で、今回の記事にとって重要な箇所はどこかと言えば、わざわざ説明するまでもないでしょうが「記」として書かれた部分です。

 

また、換金とは切っても切り離せない「3店方式」の遵守と、その将来における危惧すべき点としては、最近の記事でも扱いましたので、まだご覧になっていないという方はこちらを参照願います↓

 

【参考】2017年9月25日公開

規則改正に伴って、「換金の問題」が浮上する可能性について』

 

この過去記事で、私としては、ホール側の運営状況の悪化が換金所の経営状況の悪化に結びつき、互いの「独立性」が危うくなった結果、取り締まり行政側の介入による摘発事例が増える事になるだろうと見通しを立てさせて頂いております。

 

暴力団の弱体化と旧世代の努力

さて、暴力団の弱体化に関しては、こちらも最近の記事で扱った通り、近年暴力団の組織力は弱体化の一途を辿っていると言えます↓

 

【参考】2017年11月8日公開

『規則改正後は、ホール内外での暴力団絡みの犯罪に、より一層注意する必要がある』

 

これには、資金難や構成員の高齢化、警察庁による取り締まりスタンスの強化や地域の目が厳しくなって来た事などが関係している訳で、その中で彼らが凌いでいくには小ズルい窃盗や薬物売買などの犯罪がメインとなり、組織暴力/威嚇を背景とした旧来的な「ショバ代(みかじめ料)」の取得などは難しくなって来ているのはご存知の通りです。

 

実際、ごく最近の事を例に挙げれば、高騰するイクラの不正売買を目的として、養鮭場から鮭を盗んでイクラだけを獲るという事犯がニュースとして取り上げられていて、その逮捕者の中に暴力団員が居た事は記憶に新しいかと思います。

 

山口組の分裂も然り、それだけ彼らにとって旧来的な体制の維持が困難になっていたり経済的に困窮している事の表れと言えるでしょうが、こういった状況に追い込む事ができた、またぱちんこ業界に限らず他業種においても暴力団の関与を許さない体制づくりができたのは、数十年来の先輩世代の努力があったればこそと言えます。

 

ぱちんこ業界は特に、ホールの外に暴力団と関係がある「路上買取人(バイ人)」が居て、彼ら同士での小競り合いや、ホールから出て来たお客さんからの違法買取(安く買い叩く、ブン取る場合も・・・)によって地域の治安を悪化させたり公序良俗を汚して来たのを、暴排の徹底や金景品を使用しての交換システムに改めた事により健全化の道を歩む事ができたという歴史があります。

 

綺麗事というお叱りもあるでしょうが、私はそれを忘れてはいけないと思っております。

 

東京以外でも

今回の連載記事では、東京における金景品の利用による換金システムの構築と暴排との関係性を扱っておりますが、少しだけ他エリアに目を遣っても、やはりぱちんこ業界の旧世代事情は似通っています。

 

以下で、大阪エリアの歴史をごく簡単にではありますがお話しします。

 

1960年代前半、つまり昭和30年代中盤くらいまでは、パチ屋で提供されるタバコやガム、石鹸などは換金性が高いものとして先ほど述べたような暴力団絡みのバイ人による買い取りの対象であり、当時の大阪府警では当時の金額で年間5億円とも概算できるパチ屋絡みの収益金が裏社会に流れていた事を問題視していました。

 

この流れで、パチ屋で提供した特殊景品を、古物取り扱いの看板を掲げる公的に認可された買取所を新規に立ち上げる事で暴排に繋げようという動きが起こります。

 

業界史の中では「水島構想」と呼ばれるものです。

 

当時、全遊連(全日遊連の前身組織)の会長で、大阪遊協の代表理事でもあった水島年得 氏は、第二次大戦で発生した寡婦や身体障害者の雇用機会を創出すると共に、買い取り手数料の一部を福祉事業に拠出し、しかも暴排施策ともなり得るシステムの運営主体として「大阪福祉事業協会」の設立に漕ぎ着け、健全化に資するものとして大阪府警からのお墨付きを得る事に成功します。

 

この換金システムは「大阪方式」として認知され、手本にするエリアが他にも出て来るなど、ぱちんこ業界の歴史上において重要なものであったと位置付けられています。

 

※時代背景や固有名詞などの確認のため、『遊技通信 創刊60周年特別記念号』を参照しています。

 

組合として取り組んだから

暴排を中心に据えながら、適法かつ安全なまとまった数量の金景品(或いはエリアで正規に流通する特殊景品)が、廉価で将来的にも安定的に供給されるシステムの立ち上げや維持には、個々の店舗/ホール企業ではなく組合組織として取り組んだからこそそれが可能であり、取り締まり行政側からの認可を得た事は、ご覧の通りとなります。

 

この経緯から、エリアにおける組合組織の取り決めである

 

  • 広告宣伝規制のより厳格な解釈
  • 総付景品(配布物)規制のより厳格な解釈
  • 警察庁が問題視している「業界等価」の是正のための、エリアにおける交換個数/枚数の統一的な変更

 

こういったものに反発したいがために、組合組織の取り決めを無視したり脱退という選択をするのであれば、その店舗/ホール企業は、当該エリア組合が築いて来た換金システムからも排除されるべきであり、それが妥当であると結論付けます。

 

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まとめ

ぱちんこ業界に限らず、どの産業界、或いはスポーツや学術の場であってもそうかも知れませんが、

 

・現役世代は、旧世代の遺産の中から、自分にとって都合が良いものだけを選んで継承する事はできない

 

・歴史的な経緯を無視したり、面倒事の改善を他の者に丸投げして、自分だけが世間に対して良い顔をしたり、当座の経済活動面において楽で有利な施策をとる事は許されない

 

このように、私としては考えているのですが、読者の皆さんはどのようにお考えでしょうか?

 

 

・・・以上、

 

「組合の取り決めを無視する店舗/ホール企業は、金景品流通システムから排除せよ」

 

というテーマで、全3回にわたって連載記事を公開させて頂きました。

 

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[記事公開]

2017年11月25日

22 comments on “組合の取り決めを無視する店舗/ホール企業は、金景品流通システムから排除せよ【後編】

  1. Pingback: 【お知らせ】11/25(土)新ブログ最新記事公開 | パチンコ屋の裏話 現役店長がこっそり更新

  2. まんなっか

    歴史的経緯等、流石業界人と思わせる内容で勉強になります。

    ただ…
    今のこの業界にそんな共存共栄の意識、残っていますかね?
    換金問題を盾にしようとも、それが抜けない伝家の宝刀である以上
    結局なし崩しになる予感しかしないです。千葉県で脱等価の動きが延期になったように。

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      まんなっか さん
      地域組合における最大設置台数制限を無視してマルハンや地方大手等が店舗の大型化(500台以上)を進めたのが約20年前で、これはメーカーに対して大量販売、新台販売スパンの短期化の旨みを与えました。
      要は、自制出来なかったホール側が自分たちで首を締めた格好です。
      等価是正の統一感のなさも、同じように首を締めるでしょうね。

      Reply
  3. daidai

    路上買取人・・・いました!渋谷に。遥か昔ですが。
    今のエス〇の裏でした。当時は〇パスではありませんでしたが。

    結構本格的で、正規の交換所のすぐわきにエセ交換所作って、チンピラっぽい若者(今から考えれば下っ端構成員か準構成員、あるいはそのパシリクラスのほんとチンピラ)が「交換所はこっちだよ!」と半強制誘導してました。正規の交換所に行くと「そこじゃねーよ!」とか背中に浴びせかけられましたね。
    当時は2.5円交換で、チンピラは2円以下(テキトー。日々変わる。というか毎回変わる)で買い取ってました。
    そのあと、まとめて正規店で買い取ってもらってたんでしょうね。

    なんで正規店やパチ屋は目の前で起きているこの異常現象に文句言わないんだろう、とずっと思ってました。
    今回の楽太郎さんの連載で、いろいろ腑に落ちました。
    暴対法前の大人の事情ですね・・・

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      daidai さん
      引退した釘の師匠の言い方だと ぶんどりというやつですね。
      愚連隊防止条例施行や、街頭衛生意識の強化以前はそれこそ夜鷹が立っていたり万引きなりスリなりが横行する街も沢山あったようで、高度経済成長の恩恵が薄いエリアなどであれば、まだ「戦後」の香りすら残っていたのかも知れませんね。

      Reply
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  5. ゴンザレス

    詳しい歴史解説、ありがとうこざいます。「その時歴史が動いた~パチンコ版」ができそうですね(笑)地上波は難しいけど、YouTubeあたりで。

    しかし、暴力団排除の手段として、そして一種の搦め手として、三点方式による実質換金制度をあえて認めたなら、やはり非組合員に対して流通網の排除を試みるのは難しいのでは?個人的には「ヤッチマイナ!」とは思いますが。

    「流通網からも排除されれば再び暴力団の介入が始まる可能性がある」「組合から抜け、更に流通網からも脱退させると、手綱が全て切れた状態になる。危険である。」と言う風に『特に暴力団対策を考えると、これ以上の悪化を防ぐ必要がある』という反論が出そうですし。

    例えば、組合も抜け更に流通網から排除されたホール企業にはあらゆる認可をしない、くらいの強い対抗策が行政で取れれば別でしょうが。しかしこちらも地下に潜る可能性がある(違法パチンコ屋)、と言われればどうにもなりませんが。

    それにしても石鹸が換金性が高いというのが、ナウなヤングの自分には少々違和感が(´・ω・)

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      ゴンザレス さん
      例えば、警察庁が広告宣伝規制強化のお触れを出した平成23年には、各店舗の個々の問い合わせ等には個別に応じられない。
      警察庁、都道府県警本部、所轄との対応窓口は当該地域の組合組織とする、という主旨の通達が出ています。

      また、釘の問題や撤去問題、規則改正などの通達時には組合組織の代表が招致されます。

      こう考えると、警察庁は組合組織を必要としており仮に県遊連からのオファーがありエリアにおける等価是正への相談を受ければ、それを後押しするでしょうね。

      大阪等は、実際に「3店間での特殊景品売買や遊技客の景品交換等の場面で各所に差額利潤が発生しないのは、一般的な商品売買、流通とは明らかに異なる」「この形態で利潤が起こる前提は、客を負けさせる、これが第一になっており好ましくない」という主旨の見解が出ていますからね。

      Reply
  6. 映画好き

    業界の健全化が集客を戻すというのは

    その通りだと思います。

    確かに20年前より短時間でラクをして稼ぐ事ができなくなりましたが、

    より良くなる方向へカイゼンしていかなくてはいけないよなと1ユーザーながら思います。

    近くにPワールドに掲載されていない駅前パチンコ店があるのですが、これは地域の組合等を脱退してるのでしょうかね?

    たまにオープンしており、中に入ると5号機初期の珍古台やらパチンコ台が数台電源ONされていました。

    ギャンブルにのめり込む人って風説の流布をよく信じたりするフシがありますからね。そういったところから変えていかんとなーと思います。

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      映画好き さん
      P-WORLDは組合組織とは無関係で、多くのパチ屋が自前でHP作成したり情報発信する手段が乏しかった時代に一気にシェア拡大したターミナルサイト的な位置付けですね。

      Reply
  7. ニューマン

    大阪で福祉が本格的に稼働するまで、確かにガムは景品に使われていましたね。
    しかも、バラでなく20個入りの化粧箱でドンと渡されました。
    ある時、興味本位で買い取り所に持って行かず、封を破って食べてみると、なんと「パサパサ」で噛めれたもんではなかった。
    後で調べると、景品が循環する間に経年劣化していました。
    今ほど賞味期限がうるさくなかった時代ですから大問題ではなかったですが、ほどなくガムから「メンズコーム(櫛)」やライター石10粒ケースとかに変わりましたね~。

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      ニューマン さん
      櫛、栞、ライター石、ネクタイピン、ペン、これらに「高級」という冠を被せて特殊景品扱いするエリアが多かった訳ですが、今の30代前半以下だとそういった物に触れた事がない人も多いでしょうから、時の流れを感じますよね。。。

      Reply
  8. 匿名

    これをやるなら設定公開の解禁をセットにしないと中小ホールが潰れるだけです
    イベントも出来ない換金率も変わらないのであれば資金力があってCMをバンバン流せる大手に人が流れるだけです
    中小ホールの淘汰が業界の健全化ではないはずです

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      匿名 さん
      小規模ホールが生き残る道は路地裏での営業にしかないというエリアもあるでしょうね。
      路地裏で行われる行為は、大方グレーな訳ですが、今の警察庁がそれを看過するかどうか…

      Reply
  9. 興味深く読ませていただきました。ここまで深く掘り下げた話題は今までなかったので新鮮です。
    私の記憶の片隅にあるのですが、平成初期あたりに東京の一部地域で換金が禁止になった、
    なんて情報を雑誌で見たはずなのですが、これもこの「北沢戦争」に関係があるのでしょうか。

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      獣 さん
      でも、この手の話題や取り締まり行政、組合、依存問題などの記事は、ブログ村のアクセス数で言えば全然伸びません。
      若い人たちは興味がないんでしょうね。
      むしろ、日々の立ち回りに活用できたり、ゴッドで不正とか、どの店が何やってる的な当座の話題のほうがウケは良いです。

      平成初期の換金事情に関しては、私もよく知りません。
      ちょっと調べてみます。

      Reply
  10. てんま

    無理に金賞品取引を止めさせれば、公取から圧力団体認定されて、逆に組合が腰砕けちゃうかもですね。
    武器になるかもしれないけど、自分も怪我をするかもしれない。抜かないのが伝家の宝刀でしょうねw

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      てんま さん
      本気でやるなら、都道府県警本部からその統一感を持った自主規制方針にお墨付きを頂く必要がありそうですね。

      Reply
  11. ファウ介

    昔の独自の特殊景品、懐かしいですね。

    当時、自分がいたエリアで良く見かけたのはコーヒー豆が圧倒的に多かったですが、他にもライターの石、文鎮、ボールペンなどもありました。

    また、当時は交換所の休憩時間が曲者で、勝って帰るはずが休憩時間に当たってもう一勝負して、何度負け戦に転じたことか(^^;

    そういえば、最近は交換所の休憩時間を余り見なくなったような気がするのですが、気のせいかしら?

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      ファウ介 さん
      私の近辺にも、リアルに重い文鎮のお店がありましたね。

      休憩時間に関しては、16~17時の時間帯に30分くらい食事休憩という換金所もあるでしょうか。

      Reply
  12. うさぎ団

    もう、だいぶ前ですが、
    駅前の超寂れた店で、
    換金所が休憩中だからと
    店舗内で換金しれくれたお店がありました。
    若かったしなんかおびえながら交換してもらいましたw

    むちゃくちゃですねw

    Reply
  13. 楽太郎 Post author

    うさぎ団 さん
    ホールが、見られている、記録に残る、拡散する事をリスクとして認識するようになったのは、ほんのここ15年くらいの事じゃないですかね。
    20年以上前ならあり得たでしょうね。

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