組合の取り決めを無視する店舗/ホール企業は、金景品流通システムから排除せよ【中編】

【前編】に続いて、金景品の交換/換金に関する話題です。

 

行政講話

まずは、こちらの行政講話をご覧頂きます。

↓ ↓ ↓

2017年(平成29年)5月24日

都遊協通常総代会

於:東京ドームホテル

警視庁生活安全部保安課 風俗保安対策官

林二郎 氏による行政講話

 

この講話の中で、林氏は「顧客離れを取り戻すには、より一層の健全化が一番大事だと思います」とお話しされ、具体的に

 

①射幸性の抑制(広告宣伝規制の順守)

②暴力団の排除

③のめり込み対策

 

これら3点を挙げています。

 

この、2つ目に挙げた、暴力団の排除に関わる箇所を、以下に抜粋します。

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2つ目は、暴力団の排除です。

 

北沢戦争などと言われたように、かつて暴力団との繋がりを断ち切る事を命がけでやられて来ました。

 

その努力があって、今の東京都では、遊技場に対する暴力団の表立った関与は皆無になりました。

 

これはまさに、皆様方のレガシィ、遺産であり、本当に素晴らしい事だと思います。

 

しかし、いまだに暴力団は沢山居ます。

 

みかじめ、と言いますか、色々なものを買ってくれ、などと実際に来ています。

 

もしかすると、内々で抑えているところもあるかも知れません。

 

もし、暴力団から接触があった場合には、自分たちだけで対応するのではなく、必ず警察へ通報して頂きたいと思います。

 

警察が立ち会って中止命令をかけていきます。

 

北沢戦争の時と同じように、我々も皆様を守っていきたいと思います。

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ここまでが、行政講話の一部抜粋です。

 

次に、この行政講話でも触れている「北沢戦争」について、ごく簡単にではありますが、その概要をお話ししたいと思います。

 

北沢戦争について

舞台となるのは、1990年代初頭の、東京都世田谷区の下北沢界隈です。

 

この当時まで、ぱちんこ業界では、遊技の結果得た玉やメダルを店内において直接換金さえしなければ、「3店方式」が成立しているとして、エリアや店舗によって特色がある「特殊景品」を換金の用に充ててもらうべく遊技客に提供していました。

 

この特殊景品は、現在30代後半くらいより上の世代であれば、実に色んな物品が存在していた事を懐かしく思い出すでしょうが、その換金にあたっては、実は換金所における「交換手数料」や、パチンコ店や換金所が”穏便に”営業できるようにするための「ショバ代(みかじめ料)」を、地域の有力な暴力団に対して支払っていたという時代背景をも思い出す事でしょう。

 

この北沢エリアにおいても、そういった事情は存在した訳ですが、このぱちんこ業界の一部でのみしか通用しない特殊景品の使用を一切止め、市場価値/流通性がある金地金の使用によって、ぱちんこ営業の健全化と暴力団に不当利得させないシステムを構築しようという動きが起こります。

 

この動きの先頭に立ったのが、当時の北沢組合の組合長であった南 栄二氏であり、それがゆえに同氏は、旧来的な利得を失う事を恐れた暴力団やそれがけし掛ける右翼団体によって、自宅に街宣車を横付けされたり、火炎瓶を投げ付けられたり、拳銃を発砲されたりといった憂き目にあいます。

 

また、こういった暴挙は、組合長ホールや新しくできた金景品交換所への汚物撒き散らしなどの嫌がらせ行為へと、どんどんエスカレートしていきます。

街宣車1

「向陽社」や「防共挺身隊」を標榜する右翼街宣車が連日街を行き、金景品の交換所付近にて、パチンコ店と警察の癒着こそ諸悪の元凶であり暴力団の利得云々の話ではないといった主旨の煽動を行ったり、客として景品交換する者も違法賭博犯罪者だから自首せよ、などと拡声器で喚き散らします。

街宣車2

このような状況で、当初は業界の取り組みに好意的であった地域住民からも、これ以上面倒事を起こしてくれるな、平穏な生活が脅かされるのはごめんだ、という雰囲気にもなって行きます。

 

それでも、北沢遊技場組合や北沢警察署は暴排を旗印に屈する事なく、地域住民の協力(追放決起集会やパレード等を実施)や法的な後押し(弁護団を組織)も得ながら、金景品交換システムの実施を進めます。

暴排パレード

次第にそれは、街宣活動を「拡声器による暴騒音」として規制し(全国初)、組幹部を恐喝容疑で逮捕という形で進捗を見せ、最終的には1992年(平成4年)1月30日に、騒動の元凶であった暴力団「義人党」は、同年3月から施行される事が決まっていた「暴力団対策法」による取り締まりスタンスの強化も見据えて、警視庁に「解散届」を提出するに至りました。

 

・・・ごく簡単ではありますが、これが関東圏のぱちんこ業界史に残る北沢戦争の、掻い摘んだ経緯です。

 

より詳しく知りたいという方は、ご面倒ですが下記リンク先を参照願います。

 

当事者である、当時の北沢組合長 南氏へのインタビューを元に、実に生々しい状況が紹介されています。

 

【参考】

日遊協「パチンコ文化史」

2013年(平成25年)2月号

※日遊協HPでは、広報誌のバックナンバーが公開されています。

今回話題にした北沢戦争に関しても、このリンク以外にも事の経緯を知るのに有用な資料が公開されています(PCでの閲覧を推奨致します)。

※時系列の把握や画像資料なども、こちらのHPの広報誌バックナンバーから引用しています。

 

換金における暴排の完遂

こういった、局地的に繰り広げられる暴力団側からの反発や、旧来的な特殊景品交換システムからの移行や拠出金/ランニングコストへの不満などから導入には及び腰のホールの反発などを経て、最終的には2007(平成19年)までには、東京全域において金景品流通システムが敷設されました。

 

これに関しては、業界メディアであるグリーンべると の一文を引きます。

↓ ↓ ↓

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東京の『金地金』システム、17年目で全都導入

 

東京都遊技場組合連合会傘下の麹町遊技場組合と、東京商業流通協同組合及び東京ユニオンサーキュレーションの3者は7月26日、『金地金』を景品とする新賞品流通システムの導入に伴う調印式を執り行い、8月10日から麹町地区のパーラーにおいて金地金景品を取り入れることを合意した。

 

これで都内92組合すべてで同システムが取り入れたことになり、平成3年からスタートした同システムは17年目にしてようやく全都導入を完遂した。

 

新賞品流通システムは、パチンコ景品流通からの暴力団排除と景品流通の適正化・健全化を旗印に、東京都遊技業協同組合、東商流、TUC、そして警察行政を巻き込んで進められてきた事業で、平成3年5月に目黒区の碑文谷地区からスタートしていた。

 

また同システムでは、換金用に使用されるいわゆる「特殊景品」を廃して、市場価値のある金地金が一般賞品として提供され、客に提供された金賞品は都内の全TUCショップで買い取ってくれるほか、TUCショップが買い取った金賞品は『集荷場』において互換されるため、再び当該ホールに環流されることがないなど、全国のパチンコ景品システムのなかで最も適正なシステムともいわれている。

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ここまでが、2007年(平成19年)7月27日up『月刊グリーンべると』web版における解説文です。

 

文中にある平成3年5月は1991年5月であり、前出の北沢戦争はまさにその1991年の夏季から表面化したという経緯があります。

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全国的な暴排の流れについて

近年、全国的に暴力団の排除への機運が高まり、各地で暴排条例が施行された事は読者の皆さんもお分かりの事と思います。

 

今回話題にしている東京都においてもそれは例外では無く、2011年(平成23年)10月1日に条例が施行されています。

 

基本的な内容/理念としては、東京都及び都民等の責務を明らかにすると共に、暴力団排除に関する具体的施策を定める事によって、都民の安全で平穏な生活を確保し、事業活動の健全な発展に寄与する、としています。

 

この条例では、

 

  • 都、都民及び事業者の果たす役割
  • 暴力団排除に関する基本的施策
  • 暴力団員等に対する利益供与の禁止

 

これらについて定めています。

 

理念的な事としては、

 

  • 暴力団と交際しない
  • 暴力団を恐れない
  • 暴力団に金を出さない
  • 暴力団を利用しない

 

これらが挙げられています。

 

他道府県においても、同様の内容や理念でもって暴排条例が施行されており、ぱちんこ業界に限らず、これまで何らかの形で暴力団が絡んでいた物事でもそれが次第に解決に向かっている、まさに現在進行形の事情を、読者の皆さんはそれぞれがお住まいの地域で十分にご存知かと思います。

 

 

・・・昨日公開した【前編】(リンクします)に続き、

 

組合の取り決めを無視する店舗/ホール企業は、金景品流通システムから排除せよ

 

という内容で進めている記事の【中編】はここまでとし、これから先は【後編】でお話ししたいと思います。

 

 

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[記事公開]

2017年11月23日

14 comments on “組合の取り決めを無視する店舗/ホール企業は、金景品流通システムから排除せよ【中編】

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  2. 十全

    北沢戦争・・・当時、私は、下北沢や明大前界隈のパチンコ屋で羽根モノと一発台を主に打っていました。20歳の頃ですね。今は、その地域のパチンコ屋さんを立●検●する立場になるとは夢にも思いませんでした。

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      十全 さん
      明大前界隈ですか、実に香ばしいエリアでしたね。
      人に歴史あり。
      寒い季節の到来につき、是非ご自愛なさって、業務にあたって下さいm(_)m

      Reply
    1. 楽太郎 Post author

      匿名 さん
      釘の師匠などからの伝聞や業界資料を基にしつつ書いた記事ですが、楽しんで読んで頂けましたかね。
      経営層の国籍情報やお金の動きなどについては、網羅した資料が無いので何とも言えません…

      Reply
  3. ゴンザレス

    ここまで介入しているのに「換金については知らぬ存ぜぬ」と答弁する旦那方もお人が悪い・・・(微笑)

    グレーゾーンの色が濃いほど、裏社会の介入はしやすくなる。本当に裏社会の排除をしたいなら完全禁止の即摘発か、完全解禁の全面公開、そのどちらかしか無いでしょうね。一部海外カジノじゃ毎日税務関係者が来るとか来ないとか。

    それに一部排除に動いたら「独占禁止法違反じゃ(?)」だの「暴力団の介入を許すのか!」だの声を大きくして反論するだろうし、顧問として元警察関係者を多数養っていれば難しくもなる、特に地方。

    そこら辺をどうするのか。とりあえず後編を期待してます(*`・ω・)ゞ

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      ゴンザレス さん
      こういう、ちょっと物騒と言いますか、グレー/ブラックなお話の方がウケが良かったりしますよね。
      書いている方としては、間違った事を書くとこれまた面倒なので、時代背景や事実関係なども含めてちゃんと調べる必要があり、普通の記事よりもパワーが掛かるのが難点ですが。。。

      Reply
      1. ゴンザレス

        清く正しい記事を書くお堅い雑誌より、ちょっと過激で下品な裏話満載の週刊誌の方が売れますからね。会話も悪口の方が盛り上がったりしますしw

        良識というものが至上のはずの世間様(笑)なのに、実際には裏とかダークな物が喜ばれる。面白いもんです、社会というものは。

        Reply
        1. 楽太郎 Post author

          ゴンザレス さん
          パチ屋の私がそういった話題ばかり取り上げると業界イメージも悪くなるのでさじ加減が難しいですね。
          だからと言って、「調整」や「換金」などにノータッチでは話にならないですし。。。

          Reply
  4. パチ歴2年

    東京都遊技場組合連合会傘下の麹町遊技場組合と、東京商業流通協同組合及び東京ユニオンサーキュレーションの3者は7月26日、『金地金』を景品とする新賞品流通システムの導入に伴う調印式を執り行い、8月10日から麹町地区のパーラーにおいて金地金景品を取り入れることを合意した。

    上記の感じだと、ホールが金地金景品を提供する際、近所のTUCを案内することは問題ない、ということになるのでしょうか(スタッフは案内ができないとよく聞くので)。

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      パチ歴2年 さん
      どの所轄でも、口頭、案内物(地図)掲示など、どのような形であれ不可扱いにしていますね。
      仮に「誘導」せずに、近隣のMAP掲示という事実そのものを案内するような形であっても、そこに「TUC」等と記せば指示処分になる覚悟が必要です。

      Reply
  5. 匿名

    凄い今更だけど特殊景品の中に本当に適切な量の金が入ってるのかは疑問
    地域によっては抜かれてそうな気がするっていう妄想が捗りまくる

    Reply
    1. 楽太郎 Post author

      匿名 さん
      一応、g数量/純度は本当のようですね。
      たしか、徳力、三菱、田中貴金属などの信用度が高い大手が製造したものに限って封入しているはずです。

      Reply
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